子どもたちの「生きる力」を育むためには どんな環境が良いと思いますか? 何が必要か、家庭と幼稚園の違い、先生の役割などをご紹介します。
動植物に身近に触れられる自然豊かな園庭やダイナミックで心弾む遊具、知的好奇心を刺激する豊富な玩具や絵本、楽器など、日々の生活の中で、子どもたちはそれらに触れることで、自分の中にある、豊かな創造性を引き出して遊びます。
子どもが育つ環境とは、子どもたちの興味や関心を引き出すために、自然や物、人や時間、空間が豊かに準備されていることであり、同時に子どもたちに寄り添い、適切な援助をする先生がいることが大切です。
幼稚園は、子どもたちの成長を最大限に伸ばすために、これらの環境の充実に取り組んでいます。
豊かな環境も、子どもの発達の特性を知る先生がいてこそ、生かされ、学びの幅が広がります。
子どもたちは自分が楽しいと思う遊びを見つけると、飽きることなく繰り返し取り組みます。熱中することで「もっとやってみたい」「これってどうなるの」「不思議だなあ」という気持ちが生まれ、そこから、いろいろな発見や感動が育まれます。それは科学的な学びの始まりであり原動力です。そのために、一人ひとりに合った環境を用意し、提供することが大切です。
また遊びを通して、自分の気持ちを伝えたり、相手を思いやることで、コミュニケーション能力が自然と身に付き、人間形成の基礎が築かれていきます。だからこそ幼稚園では遊びを大切にしているのです。
幼稚園では、一般家庭では準備するのが難しいものや特殊なものでも、先生たちの専門的な視点で選択して豊富に用意しています。
まず、先生は子どもたちが本来持っている興味や関心を引き出すための遊びの環境を整えます。そしてその環境の中でそれぞれに遊び出した子どもたちを温かく見守り、時には援助の声かけや手助けをすることで、子どもたちは一そう遊び込めるようになるのです。
「楽しい」「面白い」「不思議だなあ」「これって何?」など、遊びを共感しあえる先生がいるからこそ、子どもたちは安心して自分の居場所で遊びに集中できます。
また先生は同じ空間にいる子どもたちを繋げ、仲間にする働きかけもします。幼稚園の先生はこの幼児と環境、仲間を繋げるパイプ役のような存在なのです。
子どもと先生とが一緒に飼育や栽培し、先生は動植物の変化や成長、美しさや不思議さに子どもたちが気づけるようサポートをします。
幼稚園は子どもにとって、初めての出会いの場です。自然豊かな広い園庭や、ワクワクするようなたくさんの遊具、子どもたちと全力で向き合う先生たち…。そうした豊かな環境のもとで、年齢に応じた学びの場を提供し、一人ひとりの心を大切にしながら、主体性・社会性を育む場が幼稚園です。
幼稚園における教育の目的について、学校教育法の第22条は、「幼稚園は、義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとして、幼児を保育し、幼児の健やかな成長のために適当な環境を与えて、その心身の発達を助長することを目的とする」とし、これを受けて幼稚園教育要領では「幼稚園教育は、学校教育法第22条に規定する目的を達成するため、幼児期の特性を踏まえ、環境を通して行うものであることを基本とする」と述べています。学校教育法、幼稚園教育要領のいずれにおいても、「環境」という語が用いられ、これが幼児教育の重要なポイントであることが分かります。